動物考古学との出会い

2024年7月20日
大学1年生の冬、私は特別講義で初めて「動物考古学」という言葉を耳にしました。その講義では、遺跡から出土した土器や石器だけではなく、動物骨からも過去の人々の営みを解き明かせるという話を聞き、感動しました。その瞬間から、私はこの学問分野に興味を持ち始めていたのだと思います。

その後、考古学研究室での実習や福井県への研究旅行を通じて、動物考古学の重要性を深く理解する機会に恵まれました。特に、福井県鳥浜貝塚への訪問は印象的でした。若狭三方縄文博物館と福井県立若狭歴史博物館の二館にて、鳥浜貝塚に関する詳細な展示解説がなされており、縄文時代の生業について先駆的研究が進められていることを知りました。中でも、私が最も衝撃を受けたのは、常設展示されていたニホンジカ遺体でした(写真)。私の故郷(山形)ではニホンジカは生息しておらず、初めて見たシカは遺跡から出土し、ホネとなった未知の生き物でした。

この出会いが私の動物考古学への興味を一層深め、学び始めるきっかけとなりました。縄文人たちがニホンジカをどうやって狩猟していたのかついて詳しく知りたいと思い、若狭三方縄文博物館のKさんをはじめとして、北陸地方の貝塚研究者の方々から指導を受けながら、私は研究の道を進み始めました。そして、慶應義塾大学のH先輩の研究を手伝う機会を得て、S教授の研究室に入ることができ、今も大学院生として研究を続けています。

動物考古学の道を歩み始めたことで、私の世界は広がり、新たな発見や学びに溢れています。真剣に、時にニヤニヤしながら、調査研究に取り組むたくさんの方々と出会うことができ、切磋琢磨する日々です。

これからも探求を続け、過去の人々の営みを解き明かすことで、現在を生きる人々の豊さに貢献できるよう、コツコツと努力していきたいと思います。

福井県立若狭歴史博物館常設展示のニホンジカ遺体

執筆者紹介
佐藤巧庸(さとう こうよう)
プロフィール
【経歴】
1994年 山形県生まれ
慶應義塾大学大学院後期博士課程に在籍中。滋賀県文化財保護協会にて発掘調査・企画を4年間担当。2024年より山形県立博物館の学芸員(考古部門)として考古学研究・教育普及を務める。「動物考古学的手法に基づく鳥浜貝塚の生業動態の解明」を研究課題とし、縄文時代におけるニホンジカの狩猟時季、資源利用、古食性復元に取り組む。
【主要論文】
「鳥浜貝塚出土ニホンジカ遺体の死亡時季」『動物考古学』38号 日本動物考古学会 2021年。
Reconstructing diets of hunted sika deer from Torihama Shell Midden site (ca. 6,000 years ago) by dental microwear texture analysis. Frontiers in Ecology and Evolution. 2022年(共著)。リンク
「鳥浜貝塚の鹿角―1984・1985年度調査出土資料を中心に―」『鳥浜貝塚研究』7号 福井県立若狭歴史博物館 2023年。
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